6月参禅会

 私たちは文明の発達によって世界中の出来事や様子を知ることが出来るので、昔の人に比べて、広い世界に住んでいると考えます。しかし、今も昔の人も、私が生きている世界はこの身体のみです。

 例えば、ハワイという言葉を聞くと、行った事がある人は、その思い出の中のハワイを思い描き、行った事が無い人は、テレビやネットで紹介されるきれいな海やショッピングセンターを想像できます。しかし、それは今この時の思いであり、ハワイそのものではありません。体感的に言えば、ハワイは無いとも言えます。また、私は御宿町に住んでいると表現しますが、ハワイも御宿町も、社会生活を円滑に送るための概念にすぎません。御宿町は月の砂漠が有名ですが、そこに行って見て、初めて月の砂漠を見聞できるのです。

 私たちは自分の外に、何か理想と思える事、素晴らしいものを探そうとしますが、私が生きるという事は、全てこの身体の様相であり、ここから一歩も外には出られないという事です。

 

 澤木興道老師は「自己ぎりの自己を生きる。今ぎりの今を生きる以外ない」と表現されておりますが、外に何かを探すのではなく、内によく目を向けることが、自己を習うという事です。