1月坐禅会

 

正法眼蔵に三界唯一心が説かれていますが、三界唯一心とは、世界は心の作用であるという事です。その心には実体がありませんが、過去に思いをはせ、今と比較する、他者と私を比較することで、悩み、苦悩が生じます。

 

以前、テレビ番組で、日本在住でカンボジア人を母に持つ少女が、学校でいじめを受けて、自分ほど不幸な人間はいないと思っていたそうです。そして、数年ぶりにカンボジアに帰った時に、現地の子供たちは、学校に行けずに家の仕事を手伝い、お金がないので、病院にも行けず、子供たちに将来の夢を尋ねると、「大人になるまで生きていたい」と答えたそうです。それを聞いて、自分ほど不幸な人間はいないと思っていた自分を恥じて、前向きに生きようと思い直しました。

 

また、以前は世界一幸せの国ブータンとされてきた国民が、文明が発達したことで外の世界の様子を知るようになり、他国と比較することで、自国のみじめさや不便さを知り、幸せを感じなくなったそうです。

 

これらは、他者との比較をすることで、自分が幸福になり、不幸になるという例ですが、私たちは、他人や外の要因が私を苦しめると思っています。しかし、他人や外の要因を、どのように受け止めるかによって、苦楽を自分で作っているという事です。