九月坐禅会

 

 修証義に(露命を無常の風に任せることなかれ)という教えがあります。露命とは、草についた露がいつ消えるかわからない程、はかない命、今日一日の保証さえない命を大切に精進しましょうという主旨です。

 

 以前、人の命は今日一日さえ保証がないと話したときに、そんな寂しいことを考えたら、気持ちが落ち込んで暗くなり、将来の計画や夢を考えられなくなる。という反論をいただきました。しかし、仏教とは真実を正しく示して、それを私たちが自身の事として受け止めることが大切です。人の命は今日一日の保証がないというのは、まぎれもない真実です。その真実を考えると、気持ちが暗くなり将来の計画を立てられないというのは、その人の思いであって真実ではないということです。

 

 もちろん計画を立てることは大切なことですが、計画をしている時とはあくまでその時の出来事であるということです。計画通りに事が運んだと感じたとしても、計画を立てていた時の思いと、その後に起こった事実は、計画通りだと感じたとしても全く別の事実であります。