七月坐禅会

 

 

 

 

 

 皆様は西遊記に出てくる孫悟空とお釈迦様の勝負を御存知でしょうか?孫悟空は世界の果てまで飛べると言い切り、お釈迦様は私の手の中からおまえは抜け出すことができないと言い切ります。孫悟空は雲に乗りものすごいスピードで飛び立ち、世界の果てと思われる柱に自分の名前を書いて得意満面で戻ってきます。ところが世界の果てと思った柱はお釈迦様の指であったという話です。私は子供の頃この話を見て不思議でたまりませんでした。お釈迦様は数十メートルほどの大きさなのに、あれだけの距離を飛んだのになぜ?という疑問がありました。皆様はこの話をどう考えますか?

 

 話の中のお釈迦様は宇宙の真理の象徴を表しています。孫悟空は人間の世界ではいかに優れた存在であっても、あくまでも強いこと、能力が突出しているといった人間の評価や価値基準から抜け出ていません。宇宙の真理は能力の有無に関係のない世界です。人間がどう理屈をこねようが水は高いところから低いところへ流れ、動物や虫は誰に教わらずとも子孫を残し生存する力を持っています。人間の中でどんなに権力があり、財産があっても世の中を評価や価値基準で考えているうちは本当の安心は得られません。孫悟空とお釈迦様のやりとりはこのことを表現した話だと思います。