生前戒名を受けるには(受戒会)


生前戒名は、大きなお寺の「授戒会(じゅかいえ)」という年中行事に参加し、過去の罪を懺悔(さんげ)して今後は釈尊以来の戒法を守る、という誓約を立てると頂けます。仏の弟子となり、真の仏教徒としての名前(戒名)を授かるということです。キリスト教(カトリック)の洗礼を受けた証としての聖名(クリスチャン・ネーム)に近い概念です。今日では葬儀の際に戒名を頂くのが一般ですが、亡くなった方の名前という意味ではなく、本来は生前に頂くものであり、仏教徒となった証としての名前という意味です。

2泊3日や4泊5日の修行で頂けるお寺もありますが、曹洞宗の大本山・永平寺では毎年4月23日から29日まで6泊7日間の日程で修行する「高祖大師報恩 大授戒会」が行われ、最終日には曹洞宗で最も偉い永平寺住職の大禅師から、戒名と血脈(けちみゃく、お釈迦様から達磨大師や道元禅師を経て自分まで連綿と伝わる法系図)を頂くことができます。

永平寺授戒会の修行内容

大本山・永平寺では、7日間で次の9つのプログラムを繰り返し修行します。

①諷経(読経)般若心経や観音経、陀羅尼や修証義などのお経を何度も繰り返し唱えます

②礼拝(法要)五十七仏や歴代和尚様のお名前を唱えながら、立礼と座礼を繰り返します

③説戒(講義)説戒師から釈尊以来の仏法と十六条の戒文の意味について講義を受けます

④説教(法話)全国各地から上山された禅師様より日替わりでいろいろな法話を頂きます

⑤坐禅    高祖道元禅師以来の正しい方法の指導を受け、15分程の坐禅を組みます

⑥巡堂(歩行)道場予行も兼ね、一列で南無釈迦牟尼仏と唱えながら七堂伽藍を巡ります

⑦和讃(歌唱)色々な梅花流詠讃歌を歌います、キリスト教での讃美歌にあたるものです

⑧飯台(食事)漢詩を唱えた後、作法に則り無言で、正味10分程で精進料理を頂きます

⑨道場(儀式)懺悔道場、戒を授かる教授道場、血脈を受ける正授道場の3つがあります

永平寺授戒会の修行日課

 3:10 起床(振鈴)

 3:40 朝の坐禅

 4:00 朝の法話(説教、4日目まで)

 5:30 朝のお経(朝課)

 7:00 朝食(小食)

 8:30 歩行禅(巡堂)

 9:00 午前の講義(説戒)

10:30 昼のお経(戒壇上供・午時献供)

12:00 昼食(中食)

13:00 歩行禅(巡堂)

13:30 午後の講義(説戒)

15:00 入浴

16:00 晩のお経(晡時献湯)

17:30 夕食(薬石)

19:00 礼拝(檀上礼・仏祖礼、4日目まで)
      5日目は懺悔道場、6日目は教授道場と正授道場

20:00 夜の法話(説教、4日目まで)

21:10 就寝(開枕)